変化〜恋愛観

サク

彼女との濃厚な3ヵ月を経て離れ離れになり、ようやくその距離感にも慣れてきていた。

落ち着いて考えてみると、自分の価値観が今までと随分変わっていることに気がついた。

何が変わったのか。。。

答えは簡単なことだった。

心を許したのだ。

心の底から彼女を愛そうと決めたのだ。

自分は20歳の頃初めて大きな恋愛をした。
初めて真剣に人を愛した経験だった。
1年ほど交際して相手女性からフラれた。

無垢で無知な自分は深く傷ついた。
2~3カ月は何も出来なくなった。

さすがにこのままでは不味いと思い、失恋から立ち直ろうと、啓発本や恋愛心理や哲学など、自分を奮い立たせるために必死に本を読み漁った。

その1年後東京に上京した、思い出に染まった場所から逃げ出した。

読書はその後も1年くらい続けた。
上京して新たな仕事を始めたこともあり、啓発本などが中心ではあったが、やはり心の穴を塞いでいたように思う。
しばらくして仕事も忙しくなり、新たな人間関係も出来たことで、ようやく立ち直ったように思っていた。

そこからは色んな恋愛があった。
結婚も離婚も経験し、2度目の結婚もした。
その他の恋愛も色々あった。

今の彼女と出会い、普通の恋愛を超越した魂の繋がりを感じる女性を前に「本気で向き合わないと後悔する」と思ったとき、瞬時に過去の恋愛を振り返りあることに気づいた。

自分は心に堅く頑強な蓋をしていたのだ。

自分は過去のどの恋愛でも心を許していなかったのだ。

愛することが怖かった。

自分を傷つけないように生きていたのだ。

目から鱗だった。
自分はこれまでの30年間、誰一人本当に心を許したことなどなかったのだ。

生涯で2度目。
心の底から本気で女性を愛することを決めた。

また傷つくかもしれない。

しかし不完全燃焼はまっぴらごめんだ。
たぶん人生に一度の経験になるのだろう。

用心深く弱い自分を守ってばかりの生き方と決別する覚悟を、静かに心の中で行っていた。

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